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<期間>2016年6月25日(土)~8月7日(日) <休館日>月曜日(7月18日は開館)、7月19日(火) 江戸の博物学~もっと知りたい!自然の不思議~

私たちをとりまく大いなる自然。博物学とは、この自然に存在するモノについて幅広く研究する学問です。東洋では、それらは本草学として特に薬の分野で発達してきました。我が国も古くから中国の本草学を取り入れてきましたが、江戸時代後期の1700年代半ば頃から西洋の博物学がもたらされるようになり、その影響を受けるようになってきました。

本展では本草書の歴史をたどりつつ、それと並行して江戸時代の人々に西洋博物学がどのように受け入れられてきたのかをご紹介します。そこには、現代の私たちと同じ“自然への探求心”を見出すことができるでしょう。「江戸の博物学」の魅力をご堪能ください。

※会期中、一部展示替え(同資料の展示箇所の変更)を致します。

下記より出品目録をご覧いただけます。
出品目録(248KB)

主要出品作品

「大和本草(やまとほんぞう)」日本の本草書、第一歩を踏み出す

『大和本草』貝原益軒撰 宝永6年(1709)刊

江戸時代の日本人による初めての本格的な本草書です。自ら観察した1,362種の植物、動物、鉱物について記していますが、権威ある中国の本草書にとらわれることなく、実際の観察を重視する態度は、日本の本草書が中国渡来の本草書から自立し始めたことを物語っています。江戸博物学の先駆的存在として、大変価値のある著作といえるでしょう。

「日本創製銅版新鐫 天球全図(にほんそうせいどうばんしんせん てんきゅうぜんず)」太陽からボウフラまで。これぞ博物学。

『日本創製銅版新鐫 天球全図』司馬江漢撰 寛政8年(1796)頃刊
銅版筆彩(一部木版)

太陽や月、地球などの天体から、雪の結晶、蟻、ボウフラなどの虫まで、一部木版のほかは全て銅版画に彩色を施したものです。中の数種類は、洋書を模写したものであることが指摘されています。司馬江漢(1747-1818)は、江戸時代後期の洋風画家として知られた人物。平賀源内や前野良沢などの蘭学者とも交流があり、天明3年(1783)、日本で初めて銅版画(エッチング)の制作に成功しました。

「波留麻和解(はるまわげ)」我が国初の蘭和大辞典。蘭学の学習は言葉から。

『波留麻和解』稲村三伯等編
寛政末(1800年)頃刊(木活字)

我が国で作成された最初の本格的蘭和辞書です。ユトレヒトの出版業者フランソワ・ハルマが著した『蘭仏事典』を基に翻訳したもので、約6万4千語の見出しは木活字で印刷し、訳語は筆で右から左へと縦書きにしています。寛政8年(1796)に完成した後、2~3年かけて30数部が刊行されました。外国語辞書作成の苦労が偲ばれます。

「植学啓原(しょくがくけいげん)」本邦初、西洋植物学紹介書

『植学啓原』宇田川榕庵撰 天保8年(1837)刊

我が国初の本格的西洋植物学の紹介書として名高いものです。植物学と本草学をはっきり区別し、リンネの分類法が使われています。参考にした洋書名は記されていませんが、少なくとも5種類以上の洋書が利用されたと考えられています。西洋の自然科学が本格的に日本に紹介された良い例でしょう。

「本草図譜」本格的植物図譜の集大成

『本草図譜』岩崎灌園撰 天保15年(1844)頃

我が国初の本格的彩色植物図譜、そして江戸時代の伝統的本草学の集大成といわれるものです。灌園自ら観察した植物約2,000種を忠実に写生し、解説を付したもので、20年以上の歳月を費やして完成させました。それを絵師が模写し、予約した多くの大名家の手に渡りました。野生種のものだけではなく、園芸種や外国産のものも含まれています。

「鱗鏡(うろこかがみ)」幻の魚譜、初公開!

今回初公開の本作品は、江戸時代の魚譜の流れの掉尾を飾るものといっても過言ではないでしょう。鯛からナマズまで、263種の魚類が丁寧に描かれ、簡潔な説明が付けられています。木村黙老(1774-1856)は高松藩の家老として藩政に手腕を発揮する傍ら、博学多才で知られ、あの滝沢馬琴の親友としても知られる人物でした。

『鱗鏡』木村黙老撰 嘉永6年(1853)写

開催概要

会期:2016年6月25日(土)~8月7日(日)

休館日:毎週月曜日(7月18日は開館)、7月19日(火)
開催時間:午前10時~午後4時30分(入場は午後4時まで)
入館料:一般1,000円、大高生700円、中学生以下無料 ※団体割引は20名以上

講演会情報

地下講堂にて 先着120名様(当日開館時より整理券配布)
※整理券はお1人様につき1枚のみの配布、開場13:15分より整理券番号順に入場

2016年6月30日(木)
題目:江戸文化と本草学
講師:田中優子氏(法政大学総長)
★午後1時30分より開始

学芸員による列品解説

展示内容・作品について担当司書が解説します。(展示室にて)

午前11時から 7月9日(土)・7月16日(土)・7月23日(土)
午後2時から  7月28日(木)