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挿絵本の楽しみ~響き合う絵とことばの世界~ <期間>2017年4月15日(土)~5月28日(日) <休館日>月曜日

挿絵の歴史は書物の歴史と共に始まると言われます。既に古代エジプトでは、肉体を離れた魂がたどる道筋を、ヒエログリフと詳細な絵でパピルスに記した書、『死者の書』が著されています。私たちはことばと絵の響き合う世界と共に歩んできました。挿絵入りの本には、特にそれらを求める人々の希望が反映されています。私たちは今までどのような挿絵を眺め、味わいながら物事への理解を深めてきたのでしょうか。
本展では、主に日本の江戸時代(17~19世紀半ば)と、中国の明・清時代(14世紀後半~20世紀初め)の本の中から、解説書、記録類、物語など多彩な挿絵本を選び、その時代背景と共にご紹介します。絵と文字の紡ぎだすバラエティ豊かな世界をお楽しみください。

主要展示資料

Ⅰ. 神仏をめぐる挿絵

◆『妙法蓮華経変相図』(みょうほうれんげきょうへんそうず) 中国・明時代(14世紀後半~17世紀前半)写

日本人にも親しみあるお経「法華経」を絵解きしたもの。かわいい仏菩薩や馴染み深い地獄の面々が、法華経の内容を楽しく解りやすく教えてくれています。本邦初公開!

「妙法蓮華経変相図」中国・明時代(14世紀後半~17世紀前半)写

Ⅱ. 辞書・参考書の中の挿絵

◆『纂図互註礼記』(さんとごちゅうらいき) 中国・南宋時代(12世紀前半~13世紀後半)刊

儒教のテキストのひとつ、『礼記』の注釈書です。語句の注釈と共に挿絵も添えられています。官吏登用試験「科挙」(かきょ)の受験参考書として作られました。

「纂図互註礼記」中国・南宋時代(12世紀前半~13世紀後半)刊

◆『訓蒙図彙』(きんもうずい) 中村惕斎撰 江戸・寛文6年(1666)序刊

江戸時代前期に作られた百科辞典。1図につき、和名と漢名、短い注釈をつけています。子供向けに作られたものですが、精緻な絵と簡潔な内容で、後世に大きな影響を与えました。3本足のカラスに注目!

「訓蒙図彙」中村惕斎撰 江戸・寛文6年(1666)序刊

Ⅲ. 解説する挿絵

◆『程氏墨苑』(ていしぼくえん) 中国・明・程大約撰 明・万暦33年(1605)刊

製墨師程大約による墨のデザインのカタログ。全部で515図あり、墨のデザインと文章が一体となって、単なるカタログにはない重厚感をかもし出しています。掲出箇所は「竹林七賢」図です。

「程氏墨苑」明・程大約撰 明・万暦33年(1605)刊

◆『機巧図彙』(きこうずい) 細川頼直撰 江戸・寛政8年(1796)刊

時計や茶運び人形など、「カラクリ仕掛け」で動くモノの仕組みを丁寧に解説した本です。細川頼直は天文・物理・数学などに精通し、西洋天文学も修め、改暦も手掛けました。

「機巧図彙」細川頼直撰 江戸・寛政8年(1796)刊

◆『本草図譜』

日本で作られた最初の本格的な彩色植物図譜です。本草学者である著者自ら観察した植物約2,000種を忠実に写生したもの。20年余りの歳月をかけて完成しました。園芸種や外国産の植物も掲載されています。丁寧で詳しい解説付き。完成品は多くの大名家に納められました。

「本草図譜」岩崎灌園撰 江戸・天保15年(1844)頃写

Ⅳ. 記録する挿絵

◆『咸淳臨安志』(かんじゅんりんあんし) 中国・宋・潜説友撰 宋・〔咸淳〕(1265-74)

南宋150年間の首都、臨安府(現在の浙江省杭州市)の地誌。南宋の地誌の代表的なものです。撰者は臨安の知事を務めた人で、貴重な地図が13葉掲載されています。

「咸淳臨安志」宋・潜説友撰 宋・〔咸淳〕(1265-74)刊

◆『環海異聞』(かんかいいぶん) 大槻磐水撰 江戸時代後期(19世紀)写

寛政5年(1793)、米と木材を積んで石巻から江戸に向かった舟が漂流し、アリューシャン列島に漂着。乗組員がロシアから帰国したのは文化元年(1804)でした。本書はその記録です。彼らを送って長崎に来たロシア使節レザーノフが日本に通商を求め、ここに日露間の新たな関係が開かれました。

「環海異聞」大槻玄沢撰 江戸時代後期(19世紀)写

Ⅴ. 物語る挿絵

◆『琵琶記』(びわき) 明・高明撰 明・万暦(1573-1619)刊

中国元代末に作られた戯曲。後漢の学者蔡邕(さいよう)とその妻をめぐる波乱に満ちた物語は、この分野で最高傑作の一つに数えられています。また、挿絵の彫りも極めて精緻で、当時の技術の高さをうかがうことができます。

「琵琶記」明・高明撰 明・万暦(1573-1619)刊

◆『伊勢物語』(いせものがたり) 室町時代中期(16世紀)写

日本を代表する貴公子、在原業平の優美で優しい姿をいきいきと伝えてくれる作品。文字と絵のハーモニーの美しさも必見です。

「伊勢物語」室町時代中期(16世紀)写

開催概要

会期:2017年4月15日(土)~5月28日(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:午前10時~午後4時30分(入場は午後4時まで)
入館料:一般1,000円、大高生700円、中学生以下無料 ※団体割引は20名以上

講演会情報

地下講堂にて先着120名様(当日、開館時より整理券配布)
※整理券はお1人様につき1枚のみの配布
   午後1時15分開場、整理券の番号順にご入場いただきます。

2017年5月13日(土)
題目:中国挿絵本の世界
講師:小林 宏光氏(上智大学名誉教授)
★午後1時30分より開始

展示期間中、河野元昭美術館長の講演会を予定

学芸員による列品解説

展示内容・作品について担当司書が解説します。(展示室にて)

午前11時から 4月29日(祝・土)・5月20日(土)
午後2時から  4月20日(木)・5月4日(祝・木)・5月25日(木)

※日程は、都合により変更する場合もあります