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名物裂と古渡り更紗 Dressed with the Best — Precious Textiles for Tea Utensils

[会期] 2019年11月2日(土)~12月15日(日) [休館日]毎週月曜日 (ただし11月4日は開館)、11月5日(火) [開館時間]午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで) [入館料]一般1,000円、大学生・高校生700円、障害者手帳をご提示の方および同伴者1名700円 ※20名様以上の団体は200円割引、中学生以下無料

本展は、静嘉堂では初めての、“染織”をテーマとした展覧会です。
わが国特有の発達をみせた茶の湯文化、そして文人の嗜みとして流行した煎茶文化の世界では、中国をはじめ海外から広く舶載された文物を用い、大切に伝えてきました。その内には「金襴(きんらん)」「緞子(どんす)」「間道(かんどう)」など、今日“名物裂(めいぶつぎれ)”と総称されているような高級な染織品も含まれ、それらは室町時代以降の唐物賞玩のなかで、絵画・墨蹟の表具裂や、茶入を包む袋、「仕覆(しふく)」(仕服)となり、茶人たちの鑑賞の対象となりました。
また江戸時代以降、型や手描きによる草花・鳥獣・幾何学文様などを色鮮やかに染めた木綿布“更紗(さらさ)”が、ポルトガルやオランダの南蛮船や紅毛(こうもう)船、中国船などによってもたらされると、これも数寄者たちを大いに魅了しました。とりわけ江戸時代中期頃までに輸入されたインド製更紗の一群は、後世“古渡り更紗”と呼ばれ、茶道具では箱の包み裂(つつみぎれ)に、煎茶道具では、茶銚(ちゃちょう)・茶心壺(ちゃしんこ)などの仕覆や敷物として重用されました。
永い歴史をへて、今日に美しいデザイン、繊細な手の技を伝える染織の優品を、この機会にどうぞご堪能下さい。

展示構成

プロローグ ~至宝を包む~ 国宝「曜変天目」・重要文化財「油滴天目」の仕覆 I ~名物裂、古渡り更紗を愛でる~ 「唐物茶入」の次第から Ⅱ ~茶入・棗を包む~ 織りの美、「名物裂」の世界 Ⅲ ~茶銚・茶心壺を包む~ 染めの美、「古渡り更紗」の世界 エピローグ 染織 ~憧れの意匠の広がり~

展示作品解説

① 国宝 曜変天目(「稲葉天目」) 建窯 南宋時代(12~13世紀)と仕覆 左より、「紺地二重蔓牡丹唐草文金地金襴仕覆」明時代(14~15世紀)と「白地雲文金襴仕覆」明時代(15~16世紀)

静嘉堂所蔵の曜変天目(「稲葉天目」)には2つの仕覆が添っています。これは、茶碗でありながら大変珍しいことです。
曜変天目とともに稲葉家から伝来した「紺地二重蔓牡丹唐草文金地金襴仕覆」と、岩﨑家の所蔵となってのちに(昭和9年以降)新たに誂えられた「白地雲文金襴仕覆」は、曜変天目の格に相応しい名物裂の逸品で、いずれも中国・明時代、今から5~600年ほど前に製作された貴重な絹織物です。

② 重要美術品  唐物茄子茶入「利休物相」(りきゅうもっそう)【千利休所持・伊達家伝来】の次第(しだい)。茶入挽家(ひきや)、堆黒菱盆、蒔絵の内箱、仕覆5つ、象牙の替蓋など。展示では、箱を包む、華やかな“古渡り更紗”の風呂敷も添えて陳列します。

本茶入は、千利休(1522~91)所持によって名があり、のち徳川第三代将軍、家光から伊達政宗に下賜されて以降、仙台藩主・伊達家に長く伝来した“大名物(おおめいぶつ)”の茶入です。牙蓋(げぶた)や中国漆器の盆、それにアジア圏の多様な染織品が加えられ、その次第(付属品)は実に国際色豊かです。何百年も前の染織品がいまだ“現役”で用いられているというのも、日本の書画の表具や茶道具ならではのことで、驚かれる事実です。

「利休物相」付属の「仕覆」:左から「薄茶羅地唐花文刺繍仕覆」、「蜀金仕覆」、「笹蔓手唐草文緞子仕覆」、「輪違緞子仕覆」、いずれも明時代(15~16世紀)と、「唐花兎文段織仕覆」インド(16~17世紀)。

挽家の仕覆(「蜀江錦」)の前には、貴重な中国やインド製の名物裂、刺繡からなる、丸くかわいらしい仕覆が5つ。 “緒つがり”と呼ばれる紐の部分も、それぞれ異なる配色で仕立られた、仙台藩主・伊達家の見事な“仕覆コレクション”です。

③ 重要美術品  唐物肩衝茶入「樋口肩衝(ひのくちかたつき)(山井肩衝)」【伊達家伝来】の仕覆:左から「望月間道仕覆」明時代(16~17世紀)、「白極緞子仕覆」明時代(14~15世紀)。

肩の張った姿のこの茶入は、唐物肩衝茶入「樋口肩衝(ひのくちかたつき)」で、樋口石見守知秀が所持、のち徳川家康-伊達政宗-徳川家光-伊達忠宗・・・と伊達家に長く伝来した“大名物”茶入です。仕覆は2つ付属しています。
右側の「白極緞子(はくぎょくどんす)」は、足利義政に仕えた鼓打ちの名手「白極」が義政から拝領した鼓の袋裂であったことに由来するといい、襷(たすき)の地に丸い鳥文が配されています。
もう一つの「望月間道(もちづきかんどう)」は、茶人・望月宗竹(1692~1749)所用の裂からの名とも言われています。一見地味なこの裂を拡大して見ると、赤茶・白・縹(はなだ)色(青)の色糸が変化をつけて織られていることがわかります。

④ 黒塗大棗 利休在判 桃山時代(16世紀)と仕覆:左から「蓮池水禽文縫取織仕覆」清時代(17~18世紀)、「白地二重蔓牡丹文金襴仕覆」明時代(15世紀)、「茶地大牡丹文金襴仕覆」明時代(15世紀)、御物袋:朱縮緬、箱タトウ:「白地萌黄縞唐桟(とうさん)」(裏は鹿皮)

安土・桃山時代、“茶の湯”が大成されてゆく過程で、竹茶杓・手桶水指・樂茶碗が茶席で用いられるようになり、棗(なつめ)もまた、武野紹鷗(1502~55)や千利休(1522~91)ら茶匠の好み物が制作されました。黒塗りの棗は、茶入同様に大切に扱われたため、これにも優れた仕覆が複数添うことがあります。
千利休ゆかりのこの棗には、金襴の見事な名物裂仕覆2つと、蓮池水禽文を繊細に織り出した裂の仕覆が添っています。

⑤ 静嘉堂所蔵の茶銚の仕覆-「草花文更紗仕覆」「格天井(ごうてんじょう)更紗仕覆」「亀甲手更紗仕覆」「菱手更紗仕覆」「巴手更紗仕覆」インド(17~18世紀)、「茶地龍文綾織仕覆」清時代(18世紀)など。

江戸時代後半から盛んとなった煎茶文化に目を向けると、インド製の異国風の文様が鮮やかな木綿布-「更紗(さらさ)」が江戸時代中期ころまでに少なからず輸入され、持ち主が愛玩する茶銚(ちゃちょう)(横手の急須)や茶心壺(ちゃしんこ)(茶葉を入れる錫製の茶器)などの仕覆や、道具の風呂敷などに仕立てられました。大判の布地はそのまま、煎茶会を国際色豊かに演出する敷物として利用されることもありました。
茜・藍・白地に異国風の可憐な花模様、丸文や菱文、亀甲文・幾何学文などさまざまなデザインが見られます。「名物裂」と同様、日本の数寄者たちは、「更紗」においても “○○手”などと名を付けて分類し、大切に伝えてきました。

⑥ 煎茶の茶葉を入れる「錫(すず)菱茶心壺」と「錫六角茶心壺」(清時代)の仕覆-ともに「緑地花枝文金更紗仕覆」インド(18~19世紀)

本展出品の煎茶道具の仕覆の中には、文様の線描の上に濃密な金を置いた、貴重な「金更紗」で仕立てられたものがあります。保存良く伝えられた、キラリと輝く金更紗の繊細な美しさを、是非間近でご鑑賞ください。

イベント情報

1.講演会

会場:当館地階講堂
定員:120名
聴講料:無料(ただし、当日の入館券が必要)
申込方法:当日、開館時より整理券配布(1名様につき1枚)

「江戸時代の古裂ブーム;名物裂と古渡り更紗」
日時:12月1日(日) 13:30~15:00(開場13:15)
講師:佐藤留実氏(五島美術館 主任学芸員)


2.河野元昭館長のおしゃべりトーク

会場:当館地階講堂
定員:120名
聴講料:無料(ただし、当日の入館券が必要)
申込方法:当日、開館時より整理券配布(1名様につき1枚)

「饒舌館長口演す-絵画の表装ベストテン」
日時:11月17日(日) 13:30~15:00(開場13:15)
講師:河野元昭(静嘉堂文庫美術館館長)


3.列品解説

展示内容・作品について担当学芸員が解説します(展示室または講堂にて)。
午前11時~:11月14日(木)、12月5日(木)
午後2時~:11月2日(土)、11月30日(土)


4.静嘉堂 冬のコンサート ※無料、ただし当日有効の入館券が必要です。

日時:12月8日(日) 14:00~15:00(開場 13時45分)、地階講堂にて 定員100名

「Trio Allegretto」(トリオ アレグレット) ソプラノ・チェロ・ピアノの男女3人組。
♪ソロありアンサンブルあり。わらべうた、クリスマスソングなど、軽快(アレグレット)で心地よい演奏をお届けします。皆さまとご一緒に歌いましょうコーナーもお楽しみに。