国宝 曜変天目茶碗(稲葉天目)
建窯  宋時代(12〜13世紀)
「曜変」とは元来「窯変」「容変」を意味し、唐物茶碗「土之物」の筆頭に
分類格付けされてきた。「星」または「輝く」という意味をもつ「曜」の字
を当てて文献に記されるようになるのは、十五世紀前期の頃からである。静
嘉堂所蔵の曜変天目は、もと将軍家所蔵であったものを淀藩主稲葉家が拝領
し、代々秘蔵したことから「稲葉天目」と称される。産地は中国福建省建陽
県に位置する建窯であり、窯址調査から、そのうちの蘆花坪窯である可能性
が考えられているが、まだ曜変の明瞭な斑文を伴う陶片は出土していない。
今日、世界中で現存する曜変天目茶碗は三点(京都・大徳寺龍光院、大阪・
藤田美術館、静嘉堂)であり、斑文の美しさはそれぞれ別趣であるが、すべ
て寸法や器形が酷似している。いずれも焼成前に決定されているはずの素地
土は最良のものが用いられ、高台の削り出しも精緻を極めていることから、
曜変天目は、焼成中の偶然の所産であったばかりでなく、陶工が試行錯誤の
果て、わずか完成をみた作品であった可能性もあるであろう。

2010年2月6日(土)〜3月22日(月) 「曜変天目と付藻茄子―茶道具名品展―」
にて展示予定です。