画面一杯の大きな柄鏡の枠の中に、化粧する女性の姿を描いた『今風化粧鏡』10枚揃いの内の1枚。国貞の画業を代表する美人大首絵のシリーズである。粉白粉をたっぷりまぶした牡丹刷毛で、磨きあげた肌に仕上げをする女性の引き締まった江戸前の美しさが、藍地の浴衣によく映えて匂い立つようである。歌川国貞(三世歌川豊国)は歌川派の総帥として活躍し、特に美人画と役者絵の名手として知られた。